※この記事は「人生を前向きに歩んでいくための心の土台づくり」と題して、前ぴょんが朝来市広報誌2018年8月号〜2019年3月号までシリーズで寄稿しているコラムの9月号分です。

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何かに救いを求めて記憶が無くなるまでお酒を飲んだところで、救いは得られない。7年ほど前、私は経営している会社でのトラブルから、鬱状態に陥りました。当時助けて欲しいと願っていた家族とのつながりを感じることができなくて飲酒量が増え、アルコールに依存していきました。幸い、様々な人とのつながりの中で自分を見つめ直すことができ、鬱を克服し、今ではお酒を楽しく飲めていますし、家族とも仲良く暮らしています。

 

 

さて、私の経験からも言えることですが、人は人とのつながりを希薄に感じていると、不健全な何かへの依存に陥りやすくなると考えられています。これはアメリカの話題ですが、ベトナム戦争で極度のストレス状態におかれ麻薬依存に陥った米兵でも、帰国後家族とのつながりを感じながら過ごせば、心のバランスを取り戻し、結果的に95%の人が麻薬使用を辞められたという追跡調査があります。(出典 chasing the scream :Johann Hari)。

 

 

特に心が育まれていく子ども時代において、「家族との健全なつながり」を築いておけば、将来に渡って依存症になりにくくなります。裏を返せば、幼少期にそのつながりを築けなかった場合は、将来的に何かしらの依存症に陥る可能性が高くなります。

例えば、一緒に遊んで欲しいと望む子どもの情緒を受け止めず、おもちゃを買い与えることで誤魔化し続ければ、子どものストレスのはけ口が物欲になり、「買い物依存症」になりやすくなります。また親とのコミュニケーションを取りたがっている子どもに、孤食をさせることが常態化してしまうと、孤独を埋めるために必要以上に食べ続け、食べることに依存する「過食症」になりやすくなります。

 

こうして、子どもの「甘えたい気持ち」を受け止めずに親の都合で放置していると、親とのつながりを別の物で補おうとする様々な依存状態を引き起こしやすくなるのです。

 

依存症までいかずとも、例えば子どもがSNSやゲームばかりしていることが気になったら、子どもの情緒的な訴えを受け止めてみることで、何か変化が訪れるかもしれませんね。

 

 

来月は「必要以上に人目が気になる心理状態」について考えていきたいと思います。

 

朝来市広報誌2018年09月号